さるみブログ。

自意識の墓場。

それだけじゃないだろ日本人!

土曜日の15時、ほぼ満席の池袋シネマサンシャインで『この世界の片隅に』を見てきた。民放ではプロモーションできないらしいけど、テレビ見なくったってネットの口コミでこれだけ話題作になれる時代なのだ。

13回見ましたとか、クラウドファンディングでプロモーション資金を集めようとか、とにかく絶賛の嵐だけど、ぶっちゃけこの映画がヒットしていることに懐疑的だ。良さを理解したくて、絶賛している人たちの感想を読んでたんだけど、今朝テレビで「周作さんとすずさんが喧嘩しながら帰るシーンが、、、」まで話して言葉を詰まらせて泣き出した人がいて、いよいよ自分の感性が心配になってきた。まずは箇条書きで気がついたこと、引っかかったことを書いてみる。

思ったこと

  • 料理のシーン

とても丁寧で見ていてほっこりした。 材料を読み上げたり、手描きのかわいいメモだったり、 いい絵本を読んでいるような感じ。『コクリコ坂』 の料理シーンに通じるものがある。のんのナレーションととても合ってた。(この1.00分あたりとても良い)

youtu.be

  • 周作さんのお姉さん

おしゃれが好きで、都会に憧れてて、街の時計屋の店主と恋愛結婚したけど旦那が子ども残して早死にして、嫁ぎ先とうまくいかなくて出戻る。気が強くて言葉に刺がある、テンプレみたいなキャラクターで一番行動や発言を予測できた。けど一番人間らしかったし、だからか一番会場から笑いをとったキャラだった。いま思えば、21世紀の私たちに近い考え方と性格の持ち主だったのかも。面倒な性格ゆえの生きづらさにも共感したのかな。

  • すずさん

お姉さんに対してすずさんは、(ぼんやりしているからか)全然行動とか発言が読めなかったな。すごく可愛らしい人だけど、水原さんと一夜を過ごした時の色っぽさとか、玉音放送を聞いた時の怒りとか、いい意味で裏切ってくる。ただ個人的に、顎にほくろのある人は色っぽいと思ってたんだけど(安野モヨコさくらん』の粧ひとか)、すずさんは全然だったな笑(このツイートのすずさんは色っぽいね)

  • 右手

すずさんが、呉を襲う爆弾の雨を見ながら「 手元にノートがあれば」みたいな台詞を言うシーンは、そこで「この人が見る世界は絵の材料なんだ」「 世界を自分が絵を描く前提で見ているんだ」と思った。だから「 右手を失ってからの世界が歪んで見える、 左手で描いた絵みたいに」につながってくるんじゃないかな。

周作さんとのデートで、橋の上で話してた「選ばなかった選択肢はすべて夢」ってくだり、よかったな。今ここに生きていることが現実だけど、同時に過程でしかない。うろ覚えだけど、自分の中ですとんとした。

  • カウントダウン

あの日に向かって、カレンダーがめくれて、空襲がどんどん激しくなって、、、わかっているけどハラハラしてしまう。(追記:しおたんさんがすごくいいこと言ってた


よくわからなかったこと

子どもできたんじゃないの?
結局1年くらいの間の出来事だから進展もあまりないのかも。って思ってたら宇多丸がちゃんと見れば意味がわかるって言ってたからもう1回見ないとかな、、、(公式サイトにある「すずさんの生きた時代」っていう年表が、実際の歴史の年表と一緒に見れて、ほどよいネタバレ感があってよい)

終戦後、妹から父親と母親?が死んだって知るとこ
すずさんの反応がすごく淡白で、腑に落ちなかった。すでに知ってたの?

→原作読めば全部納得できるんだろうか。誰か教えて。

 

やっぱり、ネットに氾濫する「日頃に感謝」系の感想にはどうしても納得できない、そういう理由でこの映画が好評価を得ていることを認めたくない自分がいる。「それだけじゃないだろ日本人!」みたいな。むしろみんなそんなに日々感謝してないの?ってなる。
最大限譲歩して、感想をポジティブに言おうとすれば、この映画を通して、戦争への関心というか、意識を少しでもする人が生まれたならそれはそれでいいのかな(惰性)ってコメントを一緒に見に行った人に言ったら、「ヤバイ。その感想あえっててポジティブに言うならねってネガテイブさを感じる」って言われて吹いた笑

唯一絶賛してる勢と同調できることがあるとすれば、『あまちゃん』ファンだし能年玲奈にお金が入ってくれればいいってとこかな。