たぶん23歳。
まだ23歳という事実と、『東京タラレバ娘』や雨宮まみから与えられる(勝手に摂取してる)強迫観念のはざまで、漠然とした不安にかられてる。
社会人になって一気に視界が広がって、知りたいこと学びたいことと、やらなきゃいけなきことが山積みで、コツコツやるしかないのは分かってるけど社会人の一週間も一ヶ月も一年も一瞬で、早生まれの私はまだ23歳だけど同級生たちは今年にはアラサーに突入。
このブログを読んだ男友達には「相変わらずこじらせてんな笑」って言われるし、ガッキーと石原さとみの違いを熱弁してたら先輩(男)に下世話だねって言われた。
最初は「こじらせ」とか「三十路」とか、理解できちゃう自分に酔っているだけかと思ってたけど、たぶんこれは違う。
この「違う」ってのを、『タラレバ』(ドラマ5話時点)ベースで拾って書き留めてみる。
脚本家になりたいと会社をやめた倫子。けど全然うまくいかない。
枕で若い子に仕事を取られたと思ったらただの実力の差だったし、一念発起して書いた脚本も結局コンペで落ちた。
落ち込んでる時に出会ったもこみちを「運命の人」と思い込むことにした倫子。
「幸せになります」と高らかに宣言しながら、倫子の表情は浮かない。
その上自らの選択を「逃げる」って言葉で表現する。
きっとどこかに後ろめたさがあるからだ。
「仕事を頑張るんじゃなかったの、私」
もこみちに至る前に、忘れてはならないのが、2話のイケメンモデルのkeyと一悶着だ。
結局関係を持つも「次の一手が分からない」(←まさに自分もやらかした直後で個人的にこの言葉はクリーンヒットだった)
恋愛の仕方を忘れてしまったと焦る倫子。
これは仕事のことしか考えてこなかったせい、恋愛をサボったせいだと思い込む。
それ、違うと思う。
朝日新聞が年始から取り組んでる「女子力」特集。
その記事の一つで、若い世代に専業主婦願望が広がっていることについて、女性記者がこんなことを書いていた。
女子力が示す女性の役割に、さらによって立つことで、不安定化する社会を生き延びようとする若い世代の姿が見えてきます。それ以外のサバイバルの方法が見いだしにくいからです。
たしかに私が通った中高一貫の女子校には、将来の夢はお嫁さんって女子が掃いて捨てるほどいた。
ABCクッキングに張りきって通ったり、鏡を見つけるたびメイクをチェックしたり、男の前で声や態度がガラリと変わる同級生たちを(大学時代は大っ嫌いだったけど)本当に尊敬してる(いやマジで)。
だって彼女たちがやっていることは全部、お嫁さんっていうゴールにたどり着くため(=サバイバルするため)のまっとうな活動だと思うから。
じゃあ「それ以外のサバイバル方法」の一つは、仕事で成功することかもしれない。
「脚本家になりたくて会社をやめた」倫子の目的もこっちのはずだ。
なのに周りの結婚ラッシュに焦って、「あれ?もしかしてこの波、私も乗らなきゃだった?」ってとりあえず目の前に現れたもこみちを選んだら、そりゃ後ろめたくもなる。
恋人ができる。結婚する。子どもができる。
それだけが女性のゴールや目的じゃないと思う。
仕事を頑張ることだって目的でいいし、人それぞれいろいろな目的があっていい。
倫子は、他人の目的を自分のそれと勘違いし(すり替え)てはいまいか。
たかだか小娘の戯言に見えるかもしれないけど、23歳の私はドラマを見ながら本気でそう思った。
...とまぁここまでは23歳の理想論・空想論。
ここからはもっとぶっちゃけた話。
本当はこの記事読んでビクついたりしてる。
30歳を超えて「いつか王子様が」と待っていたらやってくるのは「親の死」です。
ドラマで何度も思い出してしまうシーンがある。
バッターボックスに立つ同級生たちの無様な戦いぶりを、倫子たちはベンチから3人でゲラゲラ笑って、自分はいつでも現役でいけると思ってて、けど気がついたらボールなんて全然追えなくなってた。
振るうバットはボールをかすりもしない。
この倫子たちといやでも重ねてしまうのが、私が尊敬する30歳(女)だ。
高学歴のハイスペック男と結婚、2年後に妊娠出産、子どもの小学校入学と同時に(時間ができたから)ネイルアートの勉強をして、2年後に自分の店をオープン。
そんな絵に描いたような同級生の日々をfacebookでチェックしながらゲラゲラ笑う。
仕事ができて、頭の回転が速くて、『anan』の占いでギャーギャー騒ぐその人と話すのはめちゃくちゃ楽しい。
ただ自分が30歳になった時、同じことしてるのって聞かれると言葉につまる。
その人は可愛いし、要領もいいし、今付き合っている彼とゴールインも目前だ。
けど、30歳の自分にそんな未来はあるんだろうか。
全然想像できない。
もう一つ印象に残っているのが、4話で不倫に浮気相手に彼氏無しの3人が、「○○こそ終わってない?」って言い合うシーン。
みんな「私は○○よりマシ」と思ってる。
本当に醜かった。
女子会は最高に楽しいけど、女の喧嘩はえぐいしめんどくさいし。
できるなら関わりたくないし、巻き込まれたくない。
当事者になったが最後、否が応でも自分の醜さを突きつけられる。
雨宮まみが「こじらせ女は自分よりこじらせてる女を見て安心する」って言ってたのを思い出した。
なにも今ここで思い出さなくてもって感じだけど、正しい。
今(5話時点)の倫子たちが怯えているのは、無数いる誰かの視線や、無言の圧力だと思う。
これって別に倫子の被害妄想とかじゃなく、見えないけど確実にそこに漂っててる何かで。
それにビクついてると、同時に「行き遅れ」「仕事がんばっちゃったんだね」「かわいそう」「痛い」って思われたくないっていう焦りが出てくる。
乃木坂46の橋本奈々未でさえ、ブログでこんなことを言ってた。
わたしは結婚願望なくしがちだから、積極的に結婚式に参加して行き遅れないように頑張ろうと思う。
「結婚願望なくしがち」はよくわからんけど(結婚願望ってあったりなかったりするのかな)、トップアイドルでさえ行き遅れに怯えてんのかまじかーってなった。
高校卒業でようやく解放されたと思ってた「空気」は、多少は薄くなってたけど大学にもたしかに存在していた。
社会人になってこれで本当に自由だー生きやすくなるぞーって思ってたら、そこにはもっと濃密な世間って空気が漂ってた。
「女子力」だったり「呪い」だったり。
いろんな言葉で語られる、世の女性を縛る何かに、ビクつきながら生きてく。
盲目の恋をしたっていい(楽しいし)
仕事をがんばったっていい(楽しいし)
芸能ネタ詳しくったっていい(楽しいし)
こう言ってほしいだけなんだけどな。
用途は結婚資金か、親の入院費か分からないけど、定期預金(月5万)を始めた私は
たぶん23歳。